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いつも逃げてしまう。
つらいことがあったら逃げる癖が、昔からある。
好きなことも嫌なことも、全部続くことがない。
ずっと続くと思っていた趣味や好きなことも、途端に興味がなくなったり
人がどうおもうか、を気にして、やめてみると、そのまんま本当に辞めてしまう。
昔大好きだったアニメや漫画も、高校生になったときには
人に言うのが気が引けて、いわゆる高校デビューしたかった私は封印した。
封印してしまうと、いともかんたんにどうでもよくなった。
それよりも、同級生とのおしゃれな話や、髪型のこと、好きな人の話のほうが
私には刺激的で楽しかった。
中学生のときの友達は、中学のまま変わらないでいた。
でも、わたしは変わりたかったし、変わった。恋話で盛り上がれない中学生の友達を、切った。
今思えば、ただのくだらない、なんてことないことで盛り上がれたいい友達だったのかも。
でも、私は昔から、ずっと、しっくりくる友達がいなくて、
こうだったらいいのに、とか、こんな話ができたらいいのにって、よく思ってた。
恋もしたいし、可愛い服も着たいし、アニメや漫画の人間の感情とかそういうところを、全部話せる子がよかった。
ずっと仲良かったあの子のこと、本当は利用していたのかもしれない。
本音も話せなかった。自分がひとりでいないでいい理由とか、自分がそこにいていい理由とか、そういうものが欲しかったように思う。
本当は、私のことも守ってくれる子がいてほしかった。
高校生になって、そういう友達とは出会えなかった。
憧れの人がいたけど、その人は、私を一番にはしなかった。
でも、ちょうどいい友達ができて、今でも関係がある。
大学生になって、あの子と仲良くなった。
人生でいちばん心許した人だと思う。けど、あの子にはたくさん嘘をついてしまって
嫌な思いをさせて、もう無理になってしまった。
後悔はないけど、素直になれてたら、私の人生は違ったのかもしれない。
そしたら、全部手に入れていたのかもしれない。
今までの人生において、
「素直になれなかったこと」が一番の失態だったと思う。
あのとき、ちゃんと、思っていることを話してみたら。
「わたし、実はわからないんだ」
「これって、なに?教えてほしい」
「こういうのに興味があるんだけど、どういうルーツなの?」
「私も一緒にやりたい」
そう言えてたら、よかった。
昔から。
ずっと、昔から。
嫌なことからは逃げて、わかったフリして、笑って。
自分が面白くないやつだと思われたくなくて。
けど、そこから、逃げ出したい。
嫌なことがあって、逃げる私から、変わりたい。